2017
12.18

月のライン 5-1

Category: 小説

 月

 夜12時ごろに起こしてくれ、とゴンドラの船夫には言っていたので、眠いながらも、ロイは目を覚ますことができた。

 浜から少し沖に漕いだ場所。

 そこからは、本土と島の両方が見える。

 ロイはそれまで寝そべっていた、赤いビロードの長椅子から、上半身を起こした。

 揺れるゴンドラの中で、2つの町を見比べる。

 本土は強い、都会の明かり。

 ビルや電波塔の白々とした光が、夜なのに昼間のように放たれている。

 それに比べて島のほうは、ぼんやり灯るガス灯のともしび。

 たくさん点いてはいるけれど、やわらかに広がる、淡いきらめき。

 ロイはよく澄んだ冬の空を仰ぎ見た。

 島寄りに、細い月が浮かんでいる。

 満月だったら、島の明かり具合に似ているだろう。

 島は毎晩、月のようだな。ロイは思った。

「島に着けてくれ」

 船夫に言った。

「ありがとう。ちゃんと料金は支払うよ」

「頼みますぜ。ずっとこうしてたんじゃ、商売にならねえ」

 船夫は長いオールで漕ぎ出した。

 先頭に立って、バランスよく左右から漕ぐ。

 どいつもこいつも、ロイは心の中で呟く。

 お金が本当に好きなんだな。



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