
私たちは、かくれんぼをして遊んだ。
体の小さな者は、すぐに見つかった。
そして、大きな者に食べられたりもした。
体の大きな者は、あまり隠れられる場所がない。
私もそのうちの一人だった。
周りを見回してみても、私より大きな木は生えていない。
私が一歩前へ進むと、大きな地響きが起きる。
おそらく私は、地球上始まって以来、この世で最も大きな存在であろう。
そう、私は恐竜。
私は大変よく目立った。
遠くからでもよく見えた。
かくれんぼをしても、いつも見つかってしまう。
私は、楽しくない。つまらない日々を送った。
そんな時、仲間の一人が、こんなことを言った。
「今、あの空に見えている星が、落ちてくる気がする」
私もその星を見た。
たしかに、昨日より今日のほうが、大きくなってきているように見える。近づいてきているのだ。
「どこかに、逃げたほうがいいのではないだろうか?」
私は仲間にそう言ったが、仲間は笑って、
「大きなお前が逃げたところで、隠れられるわけもないだろう。すぐに見つかってしまうよ」
と言う。
私は何としても、隠れる場所を探したかった。
今までで、最も長く隠れられた時間は、およそ三十秒。
それも、大きな岩の陰に、できるだけ体を縮めて、長い首も折りたたむようにして、だった。
とても窮屈だったが、空からだと丸見えだ。
飛ぶ恐竜に見つかってしまったのだった。
私はあれ以来、どれだけ長い間、隠れていられるか、考えを巡らせていた。
そのうち、空から大きな星が降ってきて、私たちのすべては燃え尽くされた。
私は逃げ惑うことはやめた。
そしてこれが、私を隠れさすのに最も最適なこととなったのだ。
私の上に降り積もった大量の土砂は、大きな私さえもを隠れさせてくれた。
身が滅んでも、心は隠されたことへの喜びに満ちていた。
私は長い間、かくれんぼを楽しんだ。
およそ六千五百万年の時を経て、私は再び見つけられてしまった。
土の中から、私は掘り出された。
見たこともない、二足歩行の種族によって。
彼らは、私を見つけたことに、驚きを覚えていたのだろう。
「ついに見つけた! 大発見だ!」
と言っていたのだから。
◆ E N D


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