2017
12.21

月のライン 8-4

Category: 小説


 オープンカフェで紅茶を飲みながら、町の通りを見ていると、じつにさまざまな人が行き交っていることに、気がついた。

 杖をついたお爺さんや、にぎやかにたわむれる子供たち。

 木材を運ぶ大工。

 釣竿を下げた漁師。

 肌の色の違う人々。

 写真を撮っていく人。

 スケッチをする人。

 知り合いと出会い、急に立ち話をし始める人……。

 同じような毎日でも、1日として同じ日はない。

 見ていて飽きないな、とメルは思った。

 町の魅力は、家々の建築美だけじゃない。

 そこに住まう人々や、訪れる人のひとりひとりも、この町の一部として魅力があるんだ。

 カップをテーブルに置きながら、ふとメルは腕時計を見た。

「わっ、いけない」

 まだ配達が残ってたんだ。

「ごちそうさま!」

 オープンテラスから、開いたパン屋の入口に向かって声をかけると、中で接客していたミリが振り向き、メルに大きく手を振った。

 弾むような足取りで駆け出すメルも、多くの人たちと同じ。

 この町の景観の一部になっていた。



◆ E N D






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