2017
11.17

予言者

Category: 小説


その国は昔から、幾度の争いにも勝利し、長らく繁栄を保ってきた。

国王の裏には、偉大な力を持つとされる予言者が一人いて、どうすれば他の国に負けず、大国を維持できるか、国王に指示しているという。


国王は自分では何もせず、全てはその予言者の指示にかかっている。

そうと知った他国の軍が、予言者をさらってしまおうと考えた。

しかし、考えただけで、その意思は予言者の脳裏に行き届いてしまう。

これにより、予言者はガードを固くして、襲って来る軍隊の手を逃れられるのだった。


予言者は、予言を王に与える代わりに、大量の報酬をもらう。その予言の能力ははずれたことがなく、王は最も信頼できる相手として、どんな悩みも打ち明けてきた。



ある日、予言者が、王が尋ねもしないのに言ってきた。

「王さま、この世の終わりが見えました。三日後です。王さまがどんな手を使っても、国は世界と共に滅びます」

「まさか!」

王は、予言者の予言は全て真実と知っていたので、ひどく驚いた。予言者は、

「私も、とても残念で仕方ありません。しかし、世界が終わるのであれば、やむを得ないのです」

と言った。

三日後に、一体どんな事が起きるのだろう……と王と予言者は考えた。が、予言者にも分からない。予言する世界が、そこにはないから見えないのだ、と、予言者は静かに言っていた。

そして、なすすべもなく、三日が過ぎた。

予言者が、心臓発作で亡くなった。

予言者の力を失った国は、すぐに他国に侵略されて、滅びてしまった。

確かに、国は滅びたし、死んだ予言者にとっては、世界はそれで終わりだった。

たとえ、未来が見えていたとしても、自分のいない世界など、予言してもしょうがないじゃないか。



◆ E N D






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