2017
11.12

宝箱

Category: 小説


 その宝箱は、地中深くから見つかった。

 恐竜の骨を発掘している人が、発見したのだった。

 かなり大昔のものと思われた。

 しかし、どこにも傷はなく、真四角で、開け口もない箱だった。

 何の物質でできているのか分からない。ただ木ではなく、鉄でもなく、プラスチックでもなかった。

 でも振ってみると、中でコロコロ、音が鳴り、何かの入れ物だと検討されて、それは宝箱と呼ばれるようになった。



 まず、X線レントゲンを通してみたが、表面に特殊加工がされてあるのか、何も中身が写らなかった。ただ四角い、形だけ。

 続いてナイフ、のこぎり、電動ドリルなど試してみたが、まったく歯の立たないものだった。

 傷さえつけられないと知って、熱ではどうか、ということになり、燃やしてみた。

 中の宝物に燃え移らないか心配だったが、無事だった。

 というのも、宝箱自体、焦げ目もつけられないからだった。



 軍隊に協力を依頼し、爆薬を使った。

 宝箱はびくともしない。

 何トンもの重りを落としても、割れない。

 こうなると、どこかの国の秘密兵器だと指摘する者も出てきた。

 そこで国は、核兵器に乗り込んだ。

 最後の手段だった。

 核爆弾を宝箱に巻きつけて、衝撃で開けようとしたのだが、それももろともしなかった。

 宝箱への執着心は、それにより誰もが諦めへと、変わらせざるを得なかった。

 現代の力を持ってしても、開けられないのだ。



 宝箱は第一発見者の手に返された。

 骨の発掘人だ。

 彼は宝箱を振ってみた。コロコロと音がして、それが何なのか惹きつけられる。しかし、分からない。分からないことへのイラ立ちがつもる。全世界の人がそうだった。

 これは人類で最も危険なものだ、と指摘する人もいた。何なのか分からない、それ以上に危ないものなどない。


 恐竜発掘人は、宝箱を封印することにした。

 また、地中深く埋めたのだった。



 その、遥か先の世界で、宝箱はまた発掘された。

 人々の歴史から忘れられていた頃の話だ。

 その人々の生きる時代で、宝箱はすんなり開いた。

 中から、コロコロと何かが転がり出てきた。

 真四角の箱だった。

 振ると、カラカラと音がする。

 人々は、これは宝箱だ、と言った。

 そして開けようとしたが、ぴくりとも、しかなかった。

 彼らは封印することにした。また埋めたのだった。



 また、遥か先の世界。宝箱は開かれた。

 箱から箱が出てきて、その箱も振ると音が鳴る。



 人類が生きてゆく中で、必要なものだ、と誰かが言った。

 宝箱は探究心だった。それなくしては、人間が動く力にはならないという。

 人間の生きるすべての原動力は、探究心からなるもの。そういう想いを未来に残そうと込められた、これは心の宝箱だ。



 結局、そんな考えで締めくくられた宝箱は、果たして人類の大いなる宝なのか、違うのか、今も謎を残して、どこかの地中に埋まっている。

 宝箱がある限り、人間は生き続けているのかもしれない。

 人類滅亡を阻止する秘密を知っている、宝箱なのかもしれなかった。



◆ E N D






このエントリーをはてなブックマークに追加 follow us in feedly


にほんブログ村 小説ブログへ
関連記事
トラックバックURL
http://riemiblog.blog.fc2.com/tb.php/14-dc4d3502
トラックバック
コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
- dot 編集
すべての核爆弾をこの箱の中に入れたい。
赤ポスメジロ dot 編集
管理者にだけ表示を許可する
 

ポイントでお小遣い稼ぎ|ポイントタウン


back-to-top