2017
12.10

輪廻転生

Category: 小説


 いつも同じ夢を見る。

 女の子が話しかける。

「あなたの寿命の一年を、私にくれると約束したら、好きなものをあなたにあげるわ」

「あげるさ」

 と、その男は言う。

 どうせ夢の中の話だ。

 現実には関係のないこと……。



 翌日、男は好きなものを手に入れる。

 そしてまた夢を見る。

「今度は何くれる?」

 男は女の子に、寿命を一年分ずつ渡しながら、欲しいものを手にする。



 そのうち、夢の中の女の子が成長し、大きくなる。

「あなたが命をくれたので、助かったわ」

 女の子は言った。

「私は輪廻転生として、あなたの生まれ変わりになる女なの。まだこの世に生まれてはいないけど、ずっと待ってるなんてつまらないわ。だから早く、あなたには死んで欲しかったのよ」

「どうして好きなものをくれるんだい?」

 男が聞くと、「見返りよ」と言う女の子。

「あなたの命は私。だからちょっと意思や思考を左右して、好きなものを手にさせたの」

「だけど俺の金は減ってないよ?」

「奪ったのよ」

 男は近頃、店のあちこちで自分の欲しかったものが盗まれているという、強盗事件を思い出す。

 男は無意識的に女の子に左右されて、自分が奪った犯人だと知った。


「どうしてそんなことが? 俺の命は俺だけのものだ! きみには渡さない!」

「命は使いまわしされるものよ。初めからそう決まってるの。皆は、誰かの生まれ変わりなの。まだ生まれてない人のために、本当は早く死んで欲しいと願われているのよ」

 女の子は言った。

「あなたはもう、終わりだわ」

 男は急死し、女の子が生を受けた。

 そして、夢の中に出た時のように、大きく成長した時、それは起こった。



「やあ、きみ……」

 あの男が、女の子の夢に出てきて、言った。

「あなただれ?」

 女の子は聞く。

「そうか、生まれ変わると以前の、生まれる前の記憶はなくなっているんだね……」

「そりゃそうでしょうよ。生まれる前なんて、覚えてるわけないわ」

 そこで、男は言った。

「何か、欲しいものはあるかい?」



◆ E N D






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