次の仕事場に行くまでに、あの電波塔の前を通る。
俺は完成した、その巨大な塔に、尊敬の眼差しを向けていた。
立ち止まって見上げる、作業着姿の俺の前を、多くの人が過ぎてゆく。
入り混じった話し声。車の音。風の音。遠くで聞こえる、工事の音。
街は常に、新しい未来へと発展し続ける。
そして、俺たちも進む。
流れる時の中を、生きてゆく。
交差点を渡りながら、俺はこの世界のことを考えていた。
どんな未来が待っているだろう……。
先のことなんて、今は誰にも分からない。
でも、それはたぶん、現在の積み重ねだ。
世界はそうやって、自分たちの手で、築くんだ。
◆ E N D





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