セドは受話器を耳から離し、電話を切った。
他ならぬ町長の頼みだ。やらないわけにはいかないだろう。
それに、その報酬が嬉しい。
どんなお得意様か知らないけれど、町長に大金を振り込む。
それを自分の店で売った花だと、うそぶくだけで、分け前をくれる。
本土への運び屋になるのは、ちょっと面倒だったけど。
いつもの場所で待っている、取引人に渡すついでに、本土の市場に出た花々を、自分の店で売る用に仕入れる仕事をするには、一石二鳥だもんな。
妹も喜ぶ。
セドは、隣のベッドで静かな寝息をたてて眠る、ナヤを見た。
ちょうど、リボンがきれていたが、妹のナヤが、雑貨店から買ってくれた。
明日の朝、町長から引き継いだ花をブーケにして、レースのリボンでくるめば、いいのだ。
小さくてかわいい、素敵な贈り物の完成だ。
● NEXT → 月のライン 4-1





