2017
12.11

不思議な絵

Category: 小説


美術部のあいちゃんは、ある日先生から、有名な画家の絵を見せられた。

「この人は君たちと同い年の青年だ。なのに、こんなにリアルな絵を描いている。参考にしなさい」

その画家の名前は、こうくんといった。

特に、人物画が上手かった。

今、個展を開いていて、世界中を回っているらしい。

もうすぐ日本にも来日する予定だった。

あいちゃんも会いに行こうと決めた。



ある日、TVの取材で、こうくんの新作が発表されていた。

それを見たあいちゃんは、心臓が飛び上がるほど驚いた。

なんと、絵に描かれているのは自分ではないか!

あいちゃんは絵のモデルになったことなど、一度もない。

それが、全く会ったことのない有名画家の作品になるなんて!


よく日、学校でもあいちゃんは話題となった。

これは是非とも本人に会って、真相を確かめなければ。



こうくん来日が迫り、TVのCMや個展のお知らせなどで、こうくんをよく目にするようになった。

こうくんは密着ドキュメントにも出ていて、その番組中でも、得意な人物画を描いてみせた。

あいちゃんはますます驚いた。

こうくんの描く、リアルな人物像は、どれもがあいちゃんそっくりなのだ。


インタビューの人が、こうくんに聞いていた。

「これは、どなた?」

こうくんは言った。

「僕にもよく分かりません。イメージで描いているだけです。描かなければいけないという、強い思いで描いています」



そしてついに、個展のサイン会で二人は出会った。

目と目が合った瞬間、こうくんは言った。

「きみじゃないか! 僕が何度も夢に見た子は、実在したのか!」

「絵を見て、会いに来たんです。どうして私なんですか?」

あいちゃんの問いに、こうくんははっきりと言った。

「やはり、描いてよかった。僕は、こんな子に会いたいという思いで、描いたんだよ。そしてこの絵は、僕の理想のタイプだ。夢が、引き合わせてくれたんだよ」



それからというもの、こうくんとあいちゃんは、夫婦で、今も絵描きを続けている。

今こうくんは、夢で見た子供の絵をたくさん描いている。

きっと、実物に出会えるに違いない。



◆ E N D






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